ユーロの特徴と強み_アイキャッチ

為替取引におけるユーロの特徴や強み


欧州共通通貨「ユーロ」とはどのような通貨か

為替取引では米ドルに次ぐ取引シェアがあるユーロですが、どのような通貨であるかを一言で説明するのはそれほど簡単なことではないと思います。


最初にコトバンクから引用して、ユーロがどのような通貨であるかをおさらいしておきましょう。

欧州の通貨単位。日本の「円」、米の「ドル」などと同じ通貨の単位。ただし、「その国のお金」ではなく、欧州の12カ国によって国境を越えた1つの通貨として使用されている。1999年に導入以降、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ベルギー、ギリシャ、アイルランド、ルクセンブルク、オランダ、オーストリア、ポルトガル、フィンランドの12カ国で使用されているが、イギリスとデンマーク、スウェーデンは導入を見合わせている。為替相場が安定する結果、国内外の投資活動が活発になると期待され、今後も導入に拍車が掛かる見通し。
ユーロ(ゆーろ)とは – コトバンク

ユーロ加盟国は1999年の発足後も徐々に増加する傾向にあり、2016年時点では19の国と地域が採用する世界でもっとも採用国の多い通貨でもあります。

為替取引におけるユーロの強みとは何か

このように欧州共通通貨として発足して順調に発展しているユーロですが、為替取引の世界ではどのようなメリットのある通貨として扱われているのでしょうか。

ユーロの一番のメリットとしては、米ドルのカウンターパート(取引相手)として世界でもっともひんぱんに取引されているため、流通量が多いことがあげられます。
米ドル/ユーロの通貨ペアは国内ではそれほど人気のない通貨ペアですが、世界の取引量の見ると3割ちかい取引高とシェアを占めています。
これだけ取引量が多いと、マイナーな通貨ペアでありがちな多少大きなロットで注文を出すといつまでも約定しないという問題はほとんど起こりません。

また、国内の為替取引である米ドル/日本円の通貨ペアとは異なる値動きをする傾向があるため、リスク分散として有効な選択肢の1つであると言えます。
近年ではスプレッドの低下により米ドル/ユーロだけではなく、ユーロ/日本円の取引も活発になってきているため、米ドル/日本円、米ドル/ユーロの取引に対する新しいリスク分散の
手段として取引する投資家も増えています。

更に米ドル/ユーロは世界の取引シェアの3割ちかくを占めるほど取引量が多いので、取引のコストとなる売値(ビット)と買値(アスク)の差であるスプレッドが極めて狭い範囲で安定しているのも強みの1つです。
国内のFXサービスでは米ドル/日本円のスプレッドは0.3銭程度、米ドル/ユーロのスプレッドは0.5銭程度に設定されていますが、海外のFXサービスでは米ドル/ユーロのスプレッドが0.2銭という水準で提供しているところもあります。

中国経済の失速と原油安に揺れるユーロ

このように米ドルや日本円と組み合わせることで様々な強みを発揮するユーロですが、最近の値動きは冴えません。
2008年の世界金融危機をきっかけとする欧州ソブリン危機や一部加盟国による加入条件を満たすための財政赤字の隠ぺい、最近では関係の深い中国経済の急減速や急速に進行している原油安によるデフレ不安など、様々なマイナス要因が積み重なっているためです。
特に一部加盟国による財政赤字の隠ぺいとその後始末は、ユーロにおいて中心的役割を果たしているドイツとフランスが強硬な態度を崩さなかったため、ユーロ離脱を国民投票で問う事態にまでなりました。

おわりに

中国経済の急減速と原油安によるデフレ不安に巻き込まれて値動きの冴えないユーロですが、欧州統合という大目標を果たすべく地道な努力を続けています。
過度に不安がることなく、チャンスと考えてみるのも手ではないでしょうか。

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ユーロ・インフォメーション

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ユーロ情勢を紐解くユーロ・インフォメーション。欧州の経済に迫ります。